top of page
電波伝搬変動に基づく地震前兆検出の研究

 電離層で反射する電波の受信レベルの変動は,太陽照射により電離層の電離状態が変化するために,Fig. 1 に示すように一日を周期とした日変動を示します.しかし,地震の発生前に電離層の状態変化により,Fig. 2に示すように電波伝搬の日変動が乱れることが観測されています.本研究室では,特に長波からVHF帯の電波を受信し,その変動を精度良く検出する研究を進めており,地震前兆の検出に 有効な手段の確立を目指しています.

Fig.1 正常時の電波受信レベルの日変動例

Fig.2  電波伝搬変動時の受信レベルの変動例

 本研究では,長波(LF)帯とVHF帯の電波伝搬を観測し, その変動を検出する方法として,正常時の日変動パターンを基準として,日ごとの変動パターンとの相関を求め,異常変動を精度良く自動検出するアルゴリズムを開発しています.(Fig.3 参照)

 

 現在,2011年3月11日に発生したM7.9の三陸沖地震を始めとした東北地方太平洋沖地震前後の電波伝搬変動の解析を継続しています.この結果を,2011年9月開催の電子情報通信学会等で報告しました.下記発表論文1,2,3をご参照ください.

Fig. 3 開発した電波伝搬変動の検出アルゴリズム (発表論文(1)より)

 2010年8月に観測したデータから求めた変動評価値の日変動をFig. 4に示します.評価値が小さいほど変動が小さいことを示しています.0.4以下で正常時との偏移は小さいことが分かります.

一方,Fig. 5は2011年1月~2月の評価指数の日変動,Fig. 62011年3月~4月の評価指数の日変動を示しています.2月以降,変動が大きくなっていることが分かります.これらの評価値については,太陽活動,地磁気の変動との相関がないことを確認しています.

Fig. 4  2010年8月の評価指数の日変動

Please reload

Menu-1

Menu-2

Fig. 5  2011年1月~2月の評価指数の日変動

Fig. 6 2011年3月~4月の評価指数の日変動.朱書き矢印は,東北地方太平洋沖地震発生日を示す.前兆と考えられる電波伝搬電動を朱書き点線で示す.

発表論文:

  1. 中村 祐太,田中 將義, LF帯電波伝搬変動を用いた地震前兆検出の検討 Study on Earthquake Precursor Detection using LF-band Radio Wave Propagation Change, 電子情報通信学会,全国大会, B-1-15,p15,2012.03.  Ref. pdf

  2. 田中 將義,中村 祐太,地震発生予知に向けた電波伝搬変動検出の検討 ―東日本大地震前後の電波伝搬変動について―, Study on Earthquake Forecast using Electromagnetic Wave Propagation Fluctuation -Propagation Fluctuation before and after Great Eastern Japan Earthquake-, 第44回(平成23年度)日本大学生産工学部学術講演, OS-1,2011(Dec) Ref. pdf,    Ref. pdf (English)

  3. 中村祐太,田中將義,東日本大震災前後のLF帯電波伝搬変動 Study on LF-band Radio Wave Propagation Change before and after Eastern Japan Earthquake, 電子情報通信学会,通信ソサイエティ大会, B-1-3,p3,2011.09. Ref. pdf

  4. 中村祐太,田中將義 :電波伝搬変動を用いた地震予知の研究,電子情報通信学会 総合大会, B-1-38,p.38(2011).  Ref. pdf

  5. 中村祐太,田中將義 :長波の電波伝搬変動を用いた地震予知の研究,第43回日本大学生産工学部学術講演会,2-12,pp39(2010)

  6. 金井紳太郎,田中將義 :第40回日本大学生産工学部学術講演会,2-27(2007)

  7. 宮澤達博,田中將義 :第40回日本大学生産工学部学術講演会電気電子部会講演概要,2-28(2007)

Copyright (c) Tanaka Laboratory. All rights reserved.
本ホームページの無断複製や無断掲載,商用目的での利用を固く禁じます.

bottom of page